事故車の骨格とは？修理や評価における重要なポイント

事故車の修理や中古車としての評価でよく出てくる「骨格」とは、車両の構造において非常に重要な部分です。事故車の骨格が損傷しているかどうかは、車両の安全性や走行性能に大きな影響を与えるため、修理の判断や中古車としての価値を左右します。この記事では、事故車の骨格について詳しく解説し、修理の判断や注意点について説明します。

骨格とは？

車両の「骨格」とは、車全体を支える主要なフレームや構造部分のことを指します。この部分が損傷すると、車の強度や安全性に大きく影響を与えるため、修理や評価時に非常に重要な要素となります。

骨格の主な部分

フロントクロスメンバー: 車の前方に位置する部分で、エンジンルーム下部にあり、前方からの衝撃を吸収します。この部分が損傷すると、エンジンやその他の重要な部品にも影響を与えることがあります。
サイドメンバー: 車両の両サイドに位置し、車全体の強度を保つ役割を果たします。サイドメンバーが曲がると、車の走行性能や安全性に問題が発生することがあります。
ルーフフレーム: 車の屋根部分を支える骨格で、横転事故や上部からの衝撃に対応します。ルーフフレームが損傷すると、車の構造的強度が著しく低下します。
ピラー（A、B、Cピラー）: ピラーは車のドア周辺の柱部分を指し、Aピラーはフロントガラス両脇、Bピラーは前席と後席の間、Cピラーは後方に位置します。これらは車体のねじれを防ぐ重要なパーツです。
フロアフレーム: 車両の床部分を支えるフレームで、車全体の安定性を保つ役割があります。

骨格損傷が与える影響

事故で骨格が損傷した場合、車の構造や安全性に大きな影響を与えるため、通常のボディのへこみや傷とは異なる深刻な問題と見なされます。

安全性の低下

骨格が損傷すると、車が本来持つはずの衝撃吸収力や強度が低下し、再度事故に遭遇した際、乗員の安全を十分に保てない可能性があります。特に、フロントクロスメンバーやサイドメンバーが損傷した場合、フレームが歪み、車全体の構造が弱くなるため、さらなる衝撃に対して脆弱になります。

走行性能への影響

骨格の損傷は、車の走行性能にも悪影響を与えます。たとえば、サイドメンバーやフロアフレームが歪むと、車の直進安定性やコーナリング時のバランスが崩れ、運転に支障をきたすことがあります。また、骨格損傷によりタイヤやサスペンションが正しく取り付けられないことがあり、タイヤの摩耗や車体の振動が発生することもあります。

骨格修理の判断

事故で骨格が損傷した場合、修理が可能かどうか、また修理する価値があるかの判断が重要です。修理費用が高額になる場合や、修理後も完全な安全性が保証されないこともあります。

修理の可能性

骨格が軽度に損傷している場合、専用の機械でフレームを矯正し、元の形状に戻す修理が可能です。ただし、修理後に車が完全に元の強度や性能を取り戻すかどうかは、修理技術や損傷の程度によります。

専用フレーム修正機: 骨格修理には、フレーム修正機という特殊な装置を使って車体を引っ張り、歪みを正します。この修正機を使用すれば、軽度の骨格損傷は正確に修理できます。
交換修理: サイドメンバーやピラーなどの骨格部品がひどく損傷している場合は、交換修理が必要です。しかし、交換修理は高額な費用がかかるため、車の価値と修理コストを比較して判断する必要があります。

修理後の評価

骨格の修理が行われた車両は、修理後に適切な検査を受け、再び安全に使用できるかを確認します。しかし、修理歴がある場合、中古車市場では「修復歴車」として扱われることが多く、その価値が大きく下がる可能性があります。

修復歴車: 骨格部分に修理が行われた車は修復歴車とされ、中古車市場での評価が低くなることが一般的です。購入者にとっては、修復歴車の安全性や走行性能について不安を感じることがあるため、再販価値が下がります。

骨格損傷車を購入する際の注意点

中古車として販売されている事故車の中には、骨格が修理された「修復歴車」が含まれます。こうした車を購入する際には、以下の点に注意しましょう。

修理内容の確認

修復歴車を購入する際は、どの部分が修理されたのかを明確に確認することが重要です。フレーム修正が行われた場合、その修理内容が詳細に記録されているか、修理業者が信頼できるかを確認することで、後々のトラブルを防ぐことができます。

走行テストの実施

修復歴車を購入する際は、実際に試乗して走行性能に問題がないかを確認しましょう。特に、直進時の安定性や、コーナリング時のバランスに注意を払い、違和感がある場合は購入を再検討するべきです。

まとめ

事故車の骨格は、車両の安全性と走行性能に大きく影響を与える重要な部分です。骨格が損傷している場合、修理後の安全性や価値に大きな差が出るため、修理の判断は慎重に行う必要があります。また、修復歴車を購入する際は、修理内容や走行性能をしっかりと確認し、安全性を確保した上で選択することが大切です。