廃車にする基準とは？判断ポイントと手続き方法を解説

車を所有していると、長年の使用や事故などで「この車はもう廃車にしたほうがいいのか？」と悩む場面に直面することがあります。しかし、廃車にする基準は明確に知られていないことが多く、どのような状況で廃車を選択すべきか、判断が難しい場合もあります。本記事では、廃車にする基準や判断ポイント、そして廃車手続きの方法について詳しく解説します。廃車にするか修理するかの迷いを解消し、最適な判断ができるようにしましょう。

廃車にする基準とは？

廃車にする基準は、車両の状態や経済的な要因、環境面での影響など、さまざまな観点から判断されます。一般的には、修理が困難であったり、維持費が高額になりすぎる場合、あるいは法的な理由から使用ができなくなった場合などが廃車を検討するタイミングです。

1. 修理が不可能または高額な場合

車両の故障がひどく、修理費用が車の価値を超えるような場合には、廃車を選択することが一般的です。修理しても長く使える保証がなく、頻繁な故障が予想される場合も同様です。

エンジンやトランスミッションの故障：エンジンやトランスミッションが故障すると修理費が非常に高額になります。これらの修理費用が中古車の購入費用よりも高い場合、廃車を選ぶ方が現実的です。
フレームの損傷：事故などでフレームが歪んでいる場合、安全性が大きく損なわれるため、修理しても安全に運転できる保証がありません。このような場合も廃車の基準となります。
リコール対象で修理が困難な場合：メーカーがリコールを行うケースもありますが、古い車両で部品が手に入らない場合や修理が困難な場合には、廃車を検討する必要があります。

2. 車検や維持費が高額になる場合

車検のたびに多額の費用がかかる場合や、修理箇所が多すぎる車は廃車の検討対象となります。また、古い車ほど燃費が悪く、自動車税や保険料も高くなる傾向があり、維持費が家計を圧迫する場合も廃車を選択する理由になります。

車検費用の増加：車が古くなると車検のたびに必要な修理が増え、費用がかさみます。毎回の車検費用が高額になり、次の車検を通す価値がないと判断される場合は廃車が現実的です。
税金の負担が重い：古い車ほど自動車税や重量税が高くなります。これらの税金が家計に負担となり、維持が難しいと感じたら、廃車を検討する基準となります。
燃費の悪化：古い車は燃費が悪化し、ガソリン代も増加します。特に長距離通勤や頻繁に運転する場合、燃費の悪さがコストに直結し、経済的な理由で廃車を選ぶケースもあります。

3. 走行距離が多く車両の寿命を迎えた場合

走行距離が10万kmを超えると、各部品の劣化が進み、さまざまなトラブルが発生しやすくなります。走行距離だけでなく、経年劣化も廃車を検討する理由のひとつです。

10万km以上の走行：一般的には、10万kmを超えると主要部品の寿命が近づきます。エンジンや足回りの部品が次々に壊れ始めることが多く、修理に追われるようになるため、廃車を選択する基準となります。
年数が経過しすぎた場合：20年以上経過している車両は、車両全体の劣化が進んでおり、安全性や快適性が損なわれることが多くなります。このような車は修理費用と維持費のバランスが悪く、廃車を検討するべきです。

4. 環境規制による使用不可の場合

排ガス規制の強化や新しい環境基準の導入により、古い車は使用が制限されることがあります。特にディーゼル車や古いガソリン車は、新しい基準を満たさず、都市部での使用が禁止される場合もあります。

排ガス規制の影響：排ガス基準をクリアできない古い車両は、特定の地域では使用が禁止されることがあり、廃車を検討する必要があります。特に大都市圏では、環境負荷を減らすための規制が厳しいです。
補助金制度の活用：環境規制に伴い、古い車を廃車して新しい低排出ガス車に買い替える際の補助金制度が適用されることもあります。このような補助金を利用して廃車を選択するのも賢明な判断です。

5. 安全性の低下

古い車は安全装備が不足していることが多く、新しい車と比較して事故時のリスクが高くなります。エアバッグやABS（アンチロックブレーキシステム）など、現代の安全基準に適合していない車は、安全性の観点からも廃車を検討する基準になります。

安全装備の欠如：現代の車には多くの安全装備が標準装備されていますが、古い車にはこれらが搭載されていないことが多く、安全性が大幅に劣ります。自分や家族の安全を考えると、廃車を選ぶことが一つの判断基準です。
車体の劣化：サビや腐食が進行し、車体が脆くなっている場合は、事故時に致命的な損傷を受けやすくなります。このような状態の車両は、修理するよりも廃車にした方が安全です。

廃車を決断する際4つの注意点

廃車にする決断は慎重に行う必要があります。経済的な理由だけでなく、手続きや費用面でもしっかりと確認しておくことが大切です。ここでは、廃車を決断する際に注意すべきポイントを紹介します。

1. 車の価値を確認する

廃車にする前に、車の現在の価値を確認しましょう。たとえ古くても中古車として売却できる可能性があり、業者によっては買取価格がつくこともあります。特に、人気車種や限定モデルの車は思わぬ高値がつくことがあります。

査定を依頼する：複数の中古車買取業者に査定を依頼し、現在の価値を確認しましょう。場合によっては、廃車にせず売却した方が経済的にメリットがあることもあります。
パーツの価値を確認：車全体が価値を持たなくても、エンジンやトランスミッションなどの部品が高値で売れる場合があります。パーツ単位での売却を検討することも一つの方法です。

2. 保険の解約と還付手続き

廃車にする場合、加入している任意保険や自賠責保険の解約手続きが必要です。解約により未経過分の保険料が返金されることがありますので、忘れずに手続きを行いましょう。

自賠責保険の解約：廃車手続きが完了したら、自賠責保険の解約手続きを行います。未経過期間がある場合、返戻金が支払われることがあります。
任意保険の解約：任意保険も同様に解約し、未経過分の保険料を返金してもらいます。保険会社に廃車の証明書を提出する必要があるため、廃車手続き後に速やかに行いましょう。

3. 税金の還付手続き

廃車を行うと、自動車税や重量税の未経過分が還付される場合があります。これらの税金は廃車手続きの際に申請することで返金されるため、手続きを忘れないようにしましょう。

自動車税の還付：廃車手続き後に自動車税事務所に申請することで、未経過分の自動車税が還付されます。申請には廃車証明書や印鑑が必要です。
重量税の還付：車検が残っている場合は、重量税の還付も受けられます。陸運局での手続きが必要で、廃車証明書を提出して申請を行います。

4. 不要な手続きがないか確認

廃車手続きには、書類の準備やナンバープレートの返却など、多くの手続きが伴います。必要な手続きを怠ると、後々トラブルになる可能性があるため、しっかりと確認して進めましょう。

書類の不備確認：廃車手続きには車検証、ナンバープレート、自賠責保険証明書などが必要です。手続きをスムーズに進めるため、事前に書類を確認し、すべて揃えておきましょう。
ナンバープレートの返却：廃車手続きの際にはナンバープレートを返却する必要があります。返却を忘れると廃車手続きが完了せず、税金や保険料が発生し続けることになります。

廃車手続きの具体的な流れ

廃車を決定したら、次は手続きを進めます。廃車手続きには「一時抹消登録」と「永久抹消登録」がありますが、廃車の際には基本的に永久抹消登録を行います。以下に廃車手続きの具体的な流れを説明します。

1. 必要書類の準備

廃車手続きには、いくつかの書類が必要です。車検証、自賠責保険証明書、印鑑証明書、ナンバープレートなど、事前に必要な書類を揃えます。

車検証：車両の正式な登録証明書です。紛失している場合は再発行手続きを行いましょう。
印鑑証明書：廃車手続きには実印と印鑑証明書が必要です。市区町村役場で取得できます。
リサイクル券：リサイクル料金が支払われていることを証明する書類です。支払済みでない場合は、廃車手続きの際に料金が必要になります。

2. 陸運局での手続き

書類を準備したら、最寄りの陸運局で廃車手続きを行います。窓口で必要書類を提出し、手続きを進めます。手続きが完了すると、廃車証明書が発行されます。

窓口での手続き：陸運局の窓口で廃車手続きを行います。ナンバープレートを持参し、返却手続きを行う必要があります。
廃車証明書の発行：手続きが完了すると、正式に車両の登録が抹消され、廃車証明書が発行されます。この証明書は後々必要になる場合があるため、大切に保管しておきましょう。

3. 業者による引き取りと解体

手続きが完了したら、車両を解体業者に引き渡します。業者が車両を引き取り、適切に解体・処分を行います。業者によっては、引き取りや解体費用がかかる場合がありますので、事前に確認しておきましょう。

引き取りの手配：解体業者に依頼して車両を引き取ってもらいます。多くの業者は無料で引き取りを行いますが、車の状態によって費用が発生することもあります。
解体とリサイクル：車両は解体され、鉄やアルミニウムなどの素材はリサイクルされます。エンジンやトランスミッションなど再利用可能な部品は中古パーツとして販売されることもあります。

まとめ

廃車にする基準は、車両の状態や維持費、環境面での影響など、さまざまな要因で決まります。修理費用が高額になる場合や維持が困難になった場合、安全性に問題が生じた場合などが廃車のタイミングです。廃車の判断に迷ったときは、この記事を参考に車の状態やコストを見直し、最適な選択を行いましょう。廃車手続きの流れを把握し、スムーズに手続きを進めることで、無駄な費用をかけずに車を処分することができます。