夏に車のエンジンがかからない原因と対策

暑い夏になると、車のエンジンが突然かからなくなるケースが増えることがあります。暑さによって車の部品に不具合が起きやすくなり、特にバッテリーや燃料系統にトラブルが集中します。本記事では、夏にエンジンがかからなくなる原因と、その対策方法について詳しく解説します。

夏にエンジンがかからない主な原因

夏は高温環境が原因で、車の機器が正常に動作しなくなることが少なくありません。ここでは、よくある原因を説明します。

バッテリーの劣化や放電

暑さがバッテリーの劣化を加速させることがあります。特に、夏場に高温の駐車場などに長時間車を停めておくと、バッテリーの内部温度が上がり、電圧が不安定になることが原因でエンジンがかからない場合があります。

症状: セルモーターが弱々しく回る、もしくは完全に無反応。
対策: 夏の前にバッテリーの状態を点検し、電圧が低い場合は交換を検討しましょう。また、駐車場所を選び、日陰や風通しの良い場所に車を停めるのも効果的です。

スターターモーターのトラブル

高温がスターターモーターに影響し、動作不良を引き起こすことがあります。スターターモーターはエンジンをかけるために必要不可欠な部品ですが、熱に弱いため、夏場にエンジンを頻繁にかけ直した場合、モーターが過熱して動かなくなることがあります。

症状: セルモーターが回らないか、断続的に作動する。
対策: 一度エンジンがかからなかった場合、時間をおいて再始動してみましょう。それでもダメなら、整備工場でスターターモーターの点検を受けることをおすすめします。

燃料系統の不具合

ガソリンが気化しやすくなるのも、夏ならではの問題です。高温環境では、燃料タンクや配管内のガソリンが蒸発し、気化ガスがたまりやすくなります。その結果、エンジンに必要な燃料が供給されず、エンジンがかからないケースがあります（「ベーパー・ロック現象」）。

症状: エンジンがかかりかけて停止する、もしくはかからない。
対策: エンジンをかける前にしばらく時間を置き、気化したガスが抜けるのを待ちましょう。また、給油時は早朝や夕方の涼しい時間帯を選ぶのも効果的です。

イモビライザーの誤作動

イモビライザー（盗難防止装置）が高温によって誤作動を起こし、正しいキーを使ってもエンジンがかからないことがあります。これも、夏の高温環境に長時間晒されたことが原因で起こるトラブルの一つです。

症状: エンジンがかからず、メーターにイモビライザーの警告灯が点灯する。
対策: 一度ドアのロックを解除し直し、再度エンジンをかけてみてください。それでもかからない場合は、スペアキーを試すか、メーカーのサポートに連絡しましょう。

エンジンオイルの粘度低下

夏の高温でエンジンオイルが劣化し、粘度が低下することがあります。粘度が下がると、潤滑性能が落ち、エンジン内部の部品がうまく動かず、エンジンがかからなくなる場合があります。

症状: エンジンがかかりにくい、もしくはかかった直後に停止する。
対策: 夏場はエンジンオイルを定期的に交換し、車の使用状況に応じた粘度のオイルを選びましょう。

エンジンがかからないときの応急処置

夏場にエンジンがかからなくなった場合の応急処置をいくつか紹介します。

ジャンプスタートを試す

バッテリーの電圧低下が原因の場合、ジャンプスタートが効果的です。ジャンプケーブルと救援車を使ってバッテリーを一時的に補助します。

手順: 救援車を用意し、ジャンプケーブルで両方のバッテリーを正しく接続した後、救援車のエンジンをかけ、放電した車のエンジンを再始動します。

冷却を待ってから再始動

高温が原因でエンジンや部品に不具合が生じた場合、時間をおいてから再始動するのが効果的です。特にスターターモーターのトラブルが疑われる場合、30分程度待つことで正常に戻ることがあります。

燃料ポンプの動作確認

燃料ポンプの動作不良が疑われる場合、エンジンをかける前に「オン」位置にキーを回し、燃料ポンプの作動音を確認してください。音が聞こえない場合は、燃料系統の不具合が原因かもしれません。

エンジンがかからないのを防ぐための対策

定期的なメンテナンスを心がける

夏場に備えて、事前にバッテリーやスターターモーターの点検を行いましょう。
エンジンオイルは車種に合った粘度のものを選び、こまめに交換してください。

涼しい場所に駐車する

駐車する際は、できるだけ日陰や風通しの良い場所を選びましょう。
サンシェードやカバーを使うことで、車内温度の上昇を抑えられます。

燃料を早めに補充する

ガソリンはタンクが半分以下になったら早めに補充するのが理想です。気化ガスの発生を防ぐため、給油は涼しい時間帯に行いましょう。

まとめ

夏に車のエンジンがかからない原因は、バッテリーの劣化やスターターモーターの不具合、燃料の気化などが考えられます。高温環境では、部品への負担が大きくなり、通常よりも故障が起きやすくなるため、事前のメンテナンスが重要です。トラブルが発生した際は、焦らず原因を確認し、適切な対処を行いましょう。普段から駐車場所に気をつけたり、こまめな点検を行うことで、暑い夏でも安心して車を使い続けることができます。