外来種のタイワンリスは、自然生態系への影響が深刻化しています。近年は著しく増殖し、作物や人間に被害が拡大しているため、見つけ次第対策が必要です。この記事では、タイワンリスの特徴と被害例、撃退する方法について説明しています。

タイワンリスはどんな生き物？

タイワンリスはその名の通り、もともとは台湾に生息していました。海外から来た特定外来生物のひとつで、クリハラリスとも呼ばれています。

ニホンリスと見た目が似ていますが、それよりもやや大きいです。近年は個体数が急激に増えており、生態系に影響を及ぼしています。

繁殖力が極めて強い

優れた繁殖力を誇るため、駆除対策をしないと加速度的に増えていきます。食性は雑食性のため昆虫も食べますが、植物のほうが好みです。

野菜や果物、種子などを食すため、作物に損害を与えます。また人家にも侵入し、巣作りをすることもあります。

ペットとして飼われていた

もともとタイワンリスは、ペットとして持ち込まれました。しかし、飼い主が飼育を放棄したり、また逃げ出したりすることで繁殖していったのです。

最近は鎌倉で被害が顕著化しており、特に2018年と2023年は捕獲数が多く、1,500匹を超えています。現在は鎌倉を越えて、横浜にも勢力を伸ばしつつあります。また長崎県でも、スギやヒノキの樹皮が被害に遭うなど、適切な駆除対策が急がれている状況です。

タイワンリスが増殖するとどのような被害が発生する？

植物を好んで食べるので、増殖すると作物への被害が深刻化します。鎌倉では大根が食い荒らされる被害が発生しています。ほかにも樹木の樹皮を食べる、果実を食害するなどの問題があり、農家にとって害獣そのものです。

人家に侵入する可能性もある

タイワンリスの歯は鋭く、壁をかじって穴を開けるほどです。人家がターゲットにされることもあり、巣を作られる事例も発生しています。

天井裏や戸袋などに巣作りされると、そこを拠点として家屋にダメージを与えます。爪も鋭いため、壁や断熱材を傷付けて、断熱機能を低下させる可能性もあるのです。

また、タイワンリスに棲みつかれると、アレルギーを発症するリスクが高くなります。鼻づまり、くしゃみ、皮膚炎などを引き起こすこともあるのです。もちろん衛生的にも好ましくないため、早急に駆除対策をする必要があります。

生態系に影響を及ぼす

在来種であるニホンリスの個体数を減少させる要因になっています。タイワンリスの勢力が拡大した地域では、ニホンリスが絶滅する可能性すらあると示唆されているのです。

タイワンリスを撃退する対策とは？

特定外来生物であるタイワンリスは、外来生物法によって駆除が認められています。お住まいの自治体によっては、無料でリス用の捕獲檻を貸してくれるところもあります。

地域によっては、猟友会が駆除対策を行っているほどです。捕獲による対策は、個体数を確実に減らすために効果的です。

ただし、専門家ではない方が駆除する場合、タイワンリスの攻撃を受ける可能性があります。個体と接触すると、ペストやレプトスピラ症に感染するリスクもあります。

近寄らせない工夫をする

木酢液のにおいはタイワンリスが嫌うため、寄せ付けたくない場所を中心に撒いてみましょう。唐辛子液も効果的ですが、いずれにしても効果は一時的です。特に雨が降ると、これらの成分が流されてしまうため、コツコツと撒いて対策をするしかありません。

侵入口を塞いで家に入れない

隙間があるとタイワンリスが侵入してくる恐れがあるので、隙間を見つけたらあらかじめ塞いでおきましょう。ひとたび侵入されると、部材をかじられるなどの問題が発生します。そこで、天井裏や戸袋を中心に侵入経路を遮断してください。

最も確実な方法は業者に依頼すること

プロに依頼すれば、個人で自治体に相談して駆除の手続きをする必要はありません。プロは狩猟免状を有しており、合法的かつ確実に駆除してくれるでしょう。

まとめ

繁殖力が強いタイワンリスは、これ以上増殖させないことが重要です。放置しておけば、農作物や住宅、人への影響は加速度的に拡大していきます。個体数を抑えるには、捕獲檻で捕らえる、においで退散させるなどの対策が必要です。