鵜（ウ）は漁業や水産養殖に大きな被害をもたらす害鳥として知られています。その捕食力の高さから、魚や稚魚を大量に捕食し、水産業や自然環境に影響を与えることがあります。本記事では、鵜による被害の特徴と、被害を抑えるための効果的な対策方法について解説します。

鵜がもたらす主な被害

漁業への影響

鵜は一日に大量の魚を捕食します。特に稚魚や小型の魚を狙うため、養殖場や天然の漁場で漁業資源に大きな打撃を与えることがあります。

魚類の減少

河川や湖沼での鵜の活動が激しい場合、特定の魚種が減少し、生態系のバランスが崩れることがあります。

養殖業への被害

養殖池や網で囲まれた養殖施設でも、鵜は魚を捕食します。網を破って侵入することもあり、魚の逃亡や死滅につながる場合もあります。

糞害と水質汚染

鵜の大量の糞は水質汚染の原因となり、養殖魚や水生生物の健康に悪影響を及ぼします。また、糞が堆積することで周囲の環境が悪化し、悪臭の原因にもなります。

鵜の害鳥対策

鳥よけネットの設置

特徴
養殖池や漁場をネットで覆うことで、鵜の侵入を物理的に防ぎます。

使い方

• 魚のサイズや鵜の行動に応じて網目のサイズを選びます（5cm以下が適切）。
• ネットはしっかり固定し、隙間ができないよう設置します。

メリット

• 確実に魚を守ることができ、長期間使用できます。

水面上のワイヤー設置

特徴
養殖池や水面の上にワイヤーを張ることで、鵜が着水して魚を捕食するのを防ぎます。

使い方

• 池の端から端まで等間隔でワイヤーを張り、鵜が着水しにくい環境を作ります。
• ワイヤーの間隔は50cm以下にすると効果的です。

メリット

• コストが低く、設置が比較的簡単です。

反射材や光の利用

特徴
鵜は光や反射を嫌うため、反射材やミラーを利用して追い払うことができます。

使い方

• 水面近くに反射テープやCDを吊るします。
• 風で揺れるように設置すると効果が高まります。

注意点

• 長期間使用すると鵜が慣れる場合があるため、他の対策と併用しましょう。

音や超音波装置の使用

特徴
鵜が嫌がる音や超音波を発生させ、侵入を防ぎます。

使い方

• 養殖場や漁場の周辺に超音波装置を設置します。
• ランダムに音や周波数を変える機能がある装置を選ぶと効果が高まります。

ポイント

• 設置場所を工夫し、鵜が慣れないよう注意が必要です。

天敵を模した模型の設置

特徴
鵜の天敵である猛禽類（タカやワシ）の模型を設置し、威嚇します。

使い方

• 養殖池や漁場の目立つ場所に模型を置きます。
• 定期的に模型の位置を変えることで、鵜が慣れるのを防ぎます。

捕獲許可を得た駆除

鵜は鳥獣保護管理法で保護されているため、捕獲や駆除を行う際には自治体の許可が必要です。許可を得た場合は、専門業者や地元の協力を得て安全に駆除を行いましょう。

鵜対策を行う際の3つの注意点

法律の遵守

鳥獣保護管理法により、鵜を無許可で捕獲したり駆除することは違法です。自治体や専門家に相談し、適切な手続きを経て対応することが重要です。

複数の方法を組み合わせる

鵜は学習能力が高いため、1つの対策だけでは効果が薄れる場合があります。ネット、音、光などを組み合わせることで、効果を長続きさせることができます。

周辺環境への配慮

光や音を利用した対策では、近隣住民や他の動物への影響を考慮し、適切に運用する必要があります。

費用の目安

鳥よけネット：1㎡あたり500～2,000円
水面上のワイヤー設置：1mあたり300～1,000円
反射材（テープやCD）：無料～2,000円
超音波装置：10,000～50,000円
天敵模型：2,000～10,000円

まとめ

鵜の被害を防ぐためには、養殖池や漁場を物理的に保護するネットやワイヤーの設置が最も効果的です。加えて、光や音を利用した威嚇方法や天敵の模型を活用することで、鵜を遠ざけることができます。法律を遵守しながら、複数の対策を組み合わせて実践することで、持続的に被害を軽減し、水産業や漁場の環境を守りましょう。