お米は日本の主食として重要な作物ですが、害鳥による被害が深刻な問題となることがあります。特に収穫前後の稲穂や播種直後の種子が狙われることが多く、農家にとっては大きな悩みの一つです。本記事では、お米に被害を与える害鳥の種類と特徴、被害を軽減するための効果的な対策について解説します。

お米に被害を与える害鳥の種類

スズメ

• 特徴
  スズメは稲の食害で最も知られる鳥です。特に収穫期に近づくと、稲穂をついばみ、収穫量を減らす原因となります。稲の穂が実り始めたタイミングを狙うため、被害が集中します。

ムクドリ

• 特徴
  ムクドリは果物だけでなく、稲にも被害を与える害鳥です。スズメより体が大きく、群れで行動することが多いため、被害の規模が広がりやすいです。

カラス

• 特徴
  カラスは学習能力が高く、稲だけでなく脱穀後のお米や保管中の袋を破り、中の米を食べることもあります。

キジ

• 特徴
  キジは稲穂を直接ついばむほか、稲を踏みつけて倒すことで間接的な被害を引き起こすことがあります。

お米に対する害鳥の被害

• 収穫量の減少
  稲穂がついばまれることで、米の生産量が減少します。特に大規模な群れで襲来する場合、甚大な被害をもたらします。
• 品質の低下
  鳥に傷つけられた稲穂は、そのままにすると病害虫の温床となり、品質が悪化します。
• 脱穀後のお米の被害
  収穫後に保管しているお米がカラスに狙われることもあります。

お米の害鳥対策

鳥よけネットの設置

• 方法
  稲の周囲を網で覆うことで、鳥の侵入を防ぎます。網目のサイズはスズメなら1.5cm以下、ムクドリやカラスなら3～5cmが適切です。
• メリット
  物理的に鳥を排除できるため、効果が高く長期間使用可能です。

反射材や吊るし物の利用

• 方法
  稲の近くにCDや反射テープ、専用の反射材を吊るし、鳥が嫌がる光の反射で追い払います。
• ポイント
  風で揺れるように設置することで、動きと光が鳥に警戒感を与えます。ただし、鳥が慣れる場合があるため、定期的に配置を変えると効果が持続します。

音による威嚇

• 方法
  鳥が警戒する音や天敵（タカやフクロウ）の鳴き声を再生する装置を設置します。また、超音波装置を利用する方法もあります。
• 注意点
  音の種類や発生頻度をランダムに設定しないと、鳥が慣れてしまい効果が薄れることがあります。

忌避剤の使用

• 方法
  稲の周囲にスプレータイプやジェルタイプの忌避剤を使用し、鳥を遠ざけます。
• ポイント
  雨天時には効果が薄れるため、定期的に再塗布する必要があります。

天敵を模した模型の設置

• 方法
  タカやフクロウなどの模型を稲の周辺に設置し、鳥に「危険な場所」と認識させます。
• 工夫
  動くタイプや音が出る模型を使用すると、より高い効果が期待できます。定期的に配置を変えると、鳥が慣れにくくなります。

お米の害鳥対策を行う際の注意点

鳥獣保護管理法の遵守

日本では多くの鳥が鳥獣保護管理法で保護されています。無許可で捕獲や駆除を行うことは違法です。必要に応じて自治体に相談し、適切な手続きを踏むことが重要です。

他の方法との併用

害鳥は学習能力が高く、一つの方法だけでは効果が薄れる場合があります。ネットや音、光、忌避剤を組み合わせて対策を行うことで、被害をより効果的に抑えることが可能です。

周囲環境への配慮

音を利用する場合、近隣住民や他の動物に影響を与えないよう、使用時間帯や設置場所を工夫してください。

費用の目安

• 鳥よけネット：1㎡あたり500～1,500円
• 反射材（CDやテープ）：無料～2,000円
• 音威嚇装置（超音波含む）：5,000～30,000円
• 天敵模型：1,000～5,000円

まとめ

お米に対する害鳥の被害を防ぐには、物理的な侵入防止、音や光による威嚇、忌避剤の活用など、複数の対策を組み合わせることが重要です。鳥の種類や行動パターンを観察し、それに応じた方法を実践することで、被害を最小限に抑えることができます。法律を守りながら、効果的な対策を進めていきましょう。